外積とは?
内積の記事では、2つのベクトルからスカラーを作る演算について解説しました。今回扱う「外積」は、2つのベクトルから別のベクトルを作る演算です。同じ「掛け算」でも結果の種類が違うので、ここを混同しないようにしっかり押さえておきましょう。
外積の定義
2つのベクトル \(\vec{a}=(a_{1}, a_{2}, a_{3})\) と \(\vec{b}=(b_{1}, b_{2}, b_{3})\) の外積は、次のように定義されます。
\[\vec{a}\times\vec{b}=(a_{2}b_{3}-a_{3}b_{2} , a_{3}b_{1}-a_{1}b_{3} , a_{1}b_{2}-a_{2}b_{1})\]
内積と違って計算がやや複雑に見えますが、規則性があるので慣れれば簡単に計算できます!
外積は基本ベクトル \(\mathbf{i},\mathbf{j},\mathbf{k}\) を用いて行列で表すと、次のようになります。
\[\vec{a}\times\vec{b}=\begin{vmatrix}\mathbf{i}&\mathbf{j}&\mathbf{k}\\a_{1}&a_{2}&a_{3}\\b_{1}&b_{2}&b_{3}\end{vmatrix}\]
あとはこの行列を列ごとに余因子展開してもらうと先程示した式と同じ形になります。
外積の定義はこのように行列式を使って覚えるととても覚えやすいためおすすめです。

基本ベクトルを1行目、各ベクトルの成分を2,3行目に並べて展開するだけだね!
外積と内積との一番の大きな違いそれは
外積の結果はベクトルになる。
ということです。ここを勘違いしたまま進めてしまうと、今後の回転(rot)や発散(div)の計算などでつまづいてしまいます。内積はスカラー、外積はベクトルになるということは必ず覚えておきましょう。
外積の幾何学的意味
外積 \(\vec{a}\times\vec{b}\) には、大きさと向きそれぞれに意味があります。
大きさ
外積の大きさは \(|\vec{a}||\vec{b}|\sin\theta\) で表されます。
これは \(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) を2辺とする平行四辺形の面積に一致します。
向き
\(\vec{a}\times\vec{b}\) は、\(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) の両方に垂直な方向を向きます。具体的には下図に示したように「右手の法則」で決まります(\(\vec{a}\) から \(\vec{b}\) に向かって右手の指を曲げたとき、親指が指す方向)。

また、この式から次の関係も導けます。
\(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) が平行 ⇔ \(\vec{a}\times\vec{b}=\vec{0}\)
内積の「直交でゼロ」と対になる性質なので、セットで覚えておくとわかりやすいです。
外積の使い道
内積が「特定の方向への成分を取り出す」計算だったのに対して、外積は次のように理解しておくといいです。
外積は、2つのベクトルが張る「平面」と、その「広がり具合」を表す量である
たとえば力学では、力のモーメント(トルク)を求めるときに外積が使われます。
ある点から力の作用点までの位置ベクトルと、力のベクトルの外積を取ると、その点まわりの回転させようとする力(モーメント)が求まる。
「面を作る」「回転を生む」というイメージを持っておくと、この先の回転(rot)などの話を理解しやすくなります。
例題
例題1:モーメントの計算
原点から力の作用点までの位置ベクトルを \(\vec{r}=2\vec{i}+3\vec{j}+0\vec{k}\) [m]、その点に加わる力を \(\vec{F}=0\vec{i}+5\vec{j}+0\vec{k}\) [N] とする。このときのモーメント \(\vec{M}\) を求めよ。
モーメントは位置ベクトルと力の外積であるから、\(\vec{M}=\vec{r}\times\vec{F}\) で求めることができる。
\[\vec{M}=(3\times0-0\times5,0\times0-2\times0,2\times5-3\times0)=(0,0,10)\]
よって \(\vec{M}=10\vec{k}\) [N·m]
例題2:平行条件の利用
\(\vec{a}=\vec{i}+2\vec{j}+t\vec{k}\) と \(\vec{b}=2\vec{i}+4\vec{j}+6\vec{k}\) が平行になるような \(t\) の値を求めよ。
\(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) が平行のとき、\(\vec{a}\times\vec{b}=0\) となる。
\[\vec{a}\times\vec{b}=(2\times6-t\times4,t\times2-1\times6,1\times4-2\times2)\]
\(z\) 成分がすでに \(1\times4-2\times2=0\) となっているので、\(x\) 成分・\(y\) 成分がゼロになる条件から
\[12-4t=0 ⇒ t=3\]
\(y\) 成分でも確認すると \(2\times3-6=0\) となり一致するので、求める \(t\) は \(t=3\)
まとめ
- 外積は \(\vec{a}\times\vec{b}=(a_{2}b_{3}-a_{3}b_{2} , a_{3}b_{1}-a_{1}b_{3} , a_{1}b_{2}-a_{2}b_{1})\) で計算でき、結果はベクトルになる
- 大きさは \(|\vec{a}\times\vec{b}|=|\vec{a}||\vec{b}|\sin\theta\) で、2つのベクトルが張る平行四辺形の面積に対応する
- 向きは右手の法則で決まり、両方のベクトルに垂直な方向
- 外積がゼロ ⇔ 2つのベクトルは平行
- 外積は「モーメント」など、回転や面積に関わる量を表すときに使う
内積が「成分を取り出す」演算だったのに対し、外積は「面を作り、回転を生む」演算です。この違いを意識しておくと、この先の発散(div)・回転(rot)の学習がぐっとスムーズになるはずです。
今回は以上になります。それでは👋
